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大学の理念と目的・目標

平成21年4月1日制定
 

1.建学の精神と理念

 

① 設置の趣旨と使命

 本学は、第二次世界大戦後の山形県において、女子としての一般教養を高めるとともに、実際に必要な専門の学芸を教授研究して、地域社会の有為な社会人の育成を目的として設置された教育研究機関である。

 

 本学は、地方分権の原理と地方自治の精神に立脚する公立大学であり、山形県が地域のニーズをふまえ、自主的に設置した大学である。自治体が自らの意志と負担で大学を設置するということは、当該自治体の教育と研究に対する並々ならぬ関心を物語るものである。それに取り組む背景には、人材を育成することに対する地域の多大な期待と要請がある。 本学の使命は、こうした地域のニーズに応え、教育と研究を通して地域の向上発展に寄与し、教養と専門的知識を身につけた社会に貢献できる人間を育てることにある。

 

 これまで、大学の役割は、知の発見・創造(研究)と知の伝達・継承(教育)を通して学問の発展に寄与することであった。しかし今日、大学とくに県立大学は、その基本的性格から、地域性を前提とした存在であることを積極的特性とすることが求められている。こうした実情をふまえ、本学は、知の発見・創造、伝達・継承に加え、知の活用・実用(地域貢献)にも積極的に取り組んでいかなければならない。

 

 大学の教育が果たす最大の地域貢献は、地域社会を支える人材を養成することである。若い人材は地域の活力である。そして、この若い人材に求められる資質能力は、自ら課題を発見し、それに主体的に取り組んで解決の道を探る課題探求能力である。若者に期待される独創性や創造力は、この課題探求能力を身につけることによって発揮しうるものである。豊かな教養に裏付けられた専門的知識・技能とともに、創造的課題探求能力を備えた人材を着実に地域社会に送り出すことこそ本学の使命である。

 

② 本学の沿革

 本学は、昭和26(1951)年設置の米沢高等女子学院を前身とし、昭和27(1952)年、米沢市立の米沢女子短期大学に昇格した。当初は、家政科・被服別科で発足し、翌年、附属生活文化研究所と附属被服研究所を附置した。

 

 昭和38(1963)年、本学は米沢市から山形県に移管され、昭和45(1970)年、大学名を山形県立米沢女子短期大学に改称し、昭和47(1972)年、米沢市丸の内から米沢市通町に移転し、現在に至っている。

 

 本学は発足後、多様化する社会の要請に応えるべく常に学科の改組改編に取り組んできた。まず、昭和31(1956)年には国文科を設置した。昭和 45(1970)年、家政科を家政学科、国語科を国語国文学科と名称変更、昭和51(1976)年、家政学科に家政専攻と食物学専攻を開設、昭和 59(1984)年、英語英文学科と日本史学科を開設、平成5(1993)年、社会情報学科と家政学科改組による健康栄養学科を開設した。現在では、国語国文学科、英語英文学科、日本史学科、社会情報学科、健康栄養学科の5学科、学年定員290人を擁する全国でも屈指の規模を誇る総合短期大学となった。そして、平成14(2002)年、本学は創立50周年を迎えた。

 本学は、前身の米沢高等女学院以来、高度な職業教育及び教養教育を教授し、もって地域社会に貢献できる女子の育成に努めてきた。当初は、設立当時の時代の要請に応えて、家政科・被服別科から始まったが、女子に対する社会の要請の多様な変化に対応して改組改編を続け、現在は、人文・社会・自然科学の分野にまたがる幅広い視野を持った人材を育成し、本県女子高等教育の充実に努めている。

 また、公立大学として、地域貢献を建学の精神とするところから、附属生活文化研究所を附置し、地域社会の諸課題の解決に努めている。

 

③将来展望

 本学は、設立以来、全国でも屈指の公立総合短期大学に整備され、県内のみならず全国各地からの学生を受け入れてきており、本学に寄せられる期待には大きいものがある。しかし、今日の激動的社会のなかで、本学に求められる役割や機能も変化してきている。本学は、こうした社会からの期待に配慮しつつ、時代と社会の動向を見据え、教養教育と実務教育の結合のあり方や教育方法さらに学科の編成等についても、常に点検見直しを図っていく。同時に、学生の育成に当たっては、表層的な社会の変化に惑わされることなく、堅実な基礎的実力を備えた人材を社会に送り出すよう努めていかなければならない。

 

 また、地域貢献の重要性に鑑み、地域と連携しながら幅広い年齢層に対応した多様な生涯学習の機会の提供や地域との協働による各種の事業にも積極的に取り組むものとする。今後はこれまで以上に、地域固有の課題の発見とその解決についての基本的考え方の提示等、地域社会のシンクタンク的機能を強化し、ますます多様化・高度化する地域社会の要請に適切に応えていく。

 

2.教育の基本方針

 教養と実学の結合はもとより、課題探求能力は受け身の学習や机上の訓練では育てることができない。生きた現実に触れる社会的生活経験と優れた先人の業績に学ぶ経験との相互作用が必要である。そのため本学では、教養教育とともに、現実の諸問題を直接経験して課題解決に取り組むことを重視し、その一環としてさまざまな実地研修や身近な地域との交流を図っていく。

 

①能動型教育の充実強化

 本学では、「自ら選んで学ぶ」という能動型学習研究を重視する。専門的知識・技能の修得はもちろんのこと、学生たちは、社会の変化や時代の進展に柔軟に対応しつつも表層的変化の根源を洞察し、ゆるがない基礎的実力を身につけなければならない。さらに、自分で課題を見つけ、自ら考え、主体的に判断し、自主的に行動して課題を解決する課題探求能力の育成に努める。そのためには教養教育が重要であり、教養と実学のより一層効果的な結合を図っていく。

 

 全学的な指導体制として、本学の特徴である学生密着型の少人数教育をさらに充実させ、対話・討論等、双方向的な授業形態を積極的に拡充する。特に、教養ゼミ、演習、特定研究、実習、研修等は、少人数教育の徹底を図る。

 

②地域と連携した実践的教養教育プログラムの開発

 学生の学習意欲の喚起と学習内容の確実な定着を目指し、地域体験や地域資源を重視しながら専門科目と関連した教養教育プログラムの開発を行う。学生が、地域の実社会に触れるなかで自己の能力と適性にふさわしい学習が可能となるよう、地元社会人を中心とする講師陣による総合教養講座の充実および自己の将来展望や生き方の探求に資する教養ゼミの一層の充実を図る。

 

 また、女性が主体的に人生を切り拓き、その意欲と能力を社会のなかで活かすことができるよう、女性学さらにはジェンダー論の教育・研究プログラムを充実させる。

 

③キャリア支援教育の充実

 学生の将来設計、すなわち就職・編入学・資格取得等について総合的に支援する教育プログラムの開発を目指す。その一環として、コミュニケーション能力の育成、インターンシップの活用、編入学対応教育の強化などを行う。さらに、実践的講座の拡充にも努める。

 

④生涯学習への積極的取り組み

 大学の研究成果の地域還元として、生涯学習に積極的に取り組んでいく。総合教養講座や通常の授業科目の一部公開、公開講座の開催、付属図書館の開放、附属生活文化研究所による市民講座の開催、出前講座や地域の諸活動への教員の協力、地域への各種情報提供サービスなどを一層充実させる。

 

 なお、生涯学習をはじめとする地域貢献は、散発的な取り組みではなく、一定の体系性のもとに展開しなければならない。このため、理念を掲げて総合的組織的な構想を策定する必要がある。

 

各学科の目的と教育目標

 国語国文学科、英語英文学科、日本史学科、社会情報学科、健康栄養学科の各学科は、柔軟な思考力の育成と幅広い視野をもつための教養教育を基盤に据えつつ、当該学科の特色ある専門教育を施し、所期の使命を果たす。

 

(A)国語国文学科

 国語国文学の専門知識を身につけることによって、正しい日本語を用いる力を有し、より緻密な論理的思考能力をもち、伝統文化の豊富な知識を駆使して地域・社会に広く奉仕し得る人材を育成することを目的とする。具体的には、教職資格、図書館司書資格などの資格取得、あるいは、より高度な言語能力の習得などを通じて幅広く社会に貢献できる有用な人材を育成する。

 

 このため、(1)日本文学、日本語、漢文学、情報検索などの教育を通して、日本文化全体の特質と伝統を理解し、日本人としてのアイデンティティを身につけることによって、「国際社会に開かれた日本人」たり得る資質能力を育成する。(2)人間の諸活動や生活についての基本的認識を深めることによって、問題解決能力を高め、困難に対処する叡知を養うことを教育目標とする。

 

(B)英語英文学科

 英語を中心とした高等語学教育並びに国際感覚の涵養に重点をおいた教育を行うことを目的とする。具体的には、教職資格の取得、あるいは、TOEICや英語検定における優秀な成績・資格をもち、英会話能力や英語英文学の知識を活用することで、広く社会に貢献できる有用な人材を育成する。

 

 このため、(1)実践的英語教育により、英語を駆使できる能力を習得させる。(2)英米文学とその関連分野を学ぶことにより、国際的に通用する、ものの見方・考え方を深めさせることを教育目標とする。

 

(C)日本史学科

 幅広く豊かな教養と日本史学及びその関連分野における専門知識を身につけることによって、歴史的な洞察力と柔軟かつ論理的な思考力をもって、社会の発展に貢献できる有為の人材を育成することを目的とする。具体的には、教職資格や図書館司書資格、博物館学芸員資格の資格取得、あるいは、歴史認識を基盤とした他者理解能力などを通じて社会に貢献できる有用な人材を育成する。

 

 このため、(1)日本及び世界の歴史に対する深く広い理解力と洞察力を習得させる。(2)数多くの歴史資料や文化財に接することを通して、地域の歴史・文化財に対する深い理解と愛護の念をもたせることを教育目標とする。

 

(D)社会情報学科

 情報社会の構造、動態、技術の本質を深く理解し、それらを基盤として分析力、表現力、応用力を培い、地域や社会の発展に寄与することのできる意欲的な人材の育成を目的とする。具体的には、情報処理技術や図書館司書などの実務資格をもって、社会の諸分野に広く貢献しうる有用な人材を育成する。

 

 このため、(1)現代社会の仕組みや人間集団に関する理解を深めるための基礎知識を習得させ、実社会における諸問題を正確に分析し柔軟に対処できる能力を涵養する。(2)情報技術の専門知識を体系的に習得させ、それらを応用して情報社会で要求される問題解決能力や情報メディアによる表現力を高めることを教育目標とする。

 

(E)健康栄養学科

 人間の心身の健康を通して限りある生命の尊厳を認識し、健康を維持・増進させる専門的な知識と技能を有する人材を育成することを目的とする。

 

 具体的には、今日的な健康の課題に対応し、社会に貢献できる有用な栄養士を育成する。

 

 このため、(1)健康に関する知識・技能を身につけた、幅広い人間性を涵養する。(2)現在社会における栄養士教育の質的向上のために、健康に関する基礎理念のもと、各個人のライフサイクルに合わせた運動と食事のあり方について、生活指導のできる能力を養うことに重点を置く。

 

4. 研究機能の充実強化

 大学の「研究」が果たす最大の地域貢献は、地域の頭脳として働き、地域の知的欲求に応えることである。地域には地域固有の問題が存在する。その解決には、大学も、県や市町村などの自治体をはじめ、地域住民や関係団体等と一緒になって取り組まなければならない。しかし、その際、大学が研究機関であるが故に、とくに期待され、かつ、機能しなければならないことは、地域固有の問題発見、そして、原因の調査や要因の分析による事態改善のための考え方を提示することである。

 

 しかも、地域に根差して問題を深く掘り下げていくほど、その研究は世界各地域が共有する課題に突き当たる。地域の問題を研究することは、地域から世界各地へ学問を発信することでもある。研究は個性的かつ普遍的であることを本質にする。

 

 このような観点から、本学は、地域問題の解決に、その人的知的物的資源を積極的に投入しなければならない。このため、地域(諸団体、行政機関、等)からの委託研究や地域の諸研究機関との共同研究の活性化はもとより、公募制による生活文化研究所員との共同研究などの措置を講じる。また、研究の水準については、「教員人事に関する申し合せ」(平成15年6月19日教授会決定)により質の向上を図る。

 

5. 自己点検・評価と改善改革の取組み

 

①自己点検・外部評価の実施と自己改善システムの確立

 教育水準・研究水準の維持向上のため、教育活動・研究活動の活性化を図り、その質的向上に努めるとともに、大学としての責任を果たすため、教育活動・研究活動に関する自己点検・自己評価や外部評価を継続的かつ組織的に実施する。そして、教育活動・研究活動に関する自己点検・自己評価や外部評価の結果が、速やかにかつ有効に自己改善に結実していくシステムを確立し、自己改善能力の向上に努める。

 

②自己評価・改善委員会の役割

 従前の大学には、社会との隔絶状態をよしとする風潮があった。しかし、今日の激動ともいうべき社会の変化の中で、大学は、「知の創造と継承」という社会の強い要請に応えていかなければならない。また、大学自身にとっても自らの成立母体である社会からの孤立や遊離を回避するため、大学で何が行われているのか、大学の教育や研究の機能、実態及び成果を社会に提示しなければならない。

 

 今日の大学にとって情報提供の一層の促進は重要な課題である。しかも、大学は、社会への情報提供によって、社会から評価を受け、必要な改善を図ることになる。そして、大学の質が向上するとともに、社会から信頼と支持を得ることになる。大学のさらなる飛躍にとって、社会への情報提供と社会による評価は、不可欠である。

 

 本学は、21世紀初頭の社会状況を展望しつつ、一層活力に富む特色のある魅力的な大学づくりに取組み、大きく飛躍しなければならない。このため、自己評価・改善委員会が中心になって、学内関係では教育面、研究面、運営面、また、学外関係では組織的な地域貢献など、本学のあらゆる側面を網羅した総合的な自己点検・評価と改善・改革の作業に取り組む。